後悔について
母親は若年性アルツハイマーである。
施設に入ってもうずいぶんになる。入る前から僕を息子とは認識できなくなっていた。
不幸中の幸いというか、僕は医療従事者だったから病気に対して理解があった。病気に対しては。だから母親に「こんにちは」「〇〇はそんな顔じゃない」などと言われても軽傷で済んだ。
そういうものだと割り切ることができた。
でも、母親に対する理解は皆無だった。
ただ、割り切っていただけだった。
もうなにも分からないから、何をしても意味がない。何をしても無駄なんだ。そう思い込んで逃げている。今も。
たまにお見舞いに行けども、何を語りかければいいのかわからない。何もすることができない。家族なのに。母親なのに。
母親の人生とはなんだったのか?
定年まで仕事をして、子育てを終えて悠々自適な老後を過ごしたかったのではないか?
もっと幸せな人生があったのではないか?
自分で動くこともままならず、話すこともできず、ただ生きているだけ。そんな母親を見ながら勝手に母親の人生を測る。何もできないくせに。そんな自分が情けなくなる。
他人の人生を測るなんて傲慢だとも思うけれど、息子として思わずにはいられない。
もっと会話を交わすべきだった。
登山に連れて行くべきだった。
就職して、お金を稼いでもっと美味しいものを食べさせてあげたかった。
後悔先に立たず、とは本当によくできた言葉だと思う。今更何を思っても遅いのだ。
僕はこの後悔を忘れることができずに生きていくのだろう。
さて、長々と書いたがつまるところ親孝行...というか大切な人孝行はしたほうがいいというお話。
「生きてる間」ではなく「話せる、動ける間」にすべきだというお話。
罪滅ぼしとしては間違ってるけれど、母親にできなかったことを周りの人にすることで自責の念を少しでも軽くしようと企むしたろうでした。
ハード、、、ボイルド?
男。コートも脱がずにカウンターに腰掛ける。初めて見る顔だ。
「何になさいますか?」
マスターが尋ねた。
「そうだね、身体が冷えてるし、まずはバーボンをストレートで。」
「かしこまりました。」
この店にバーボンは1種類しかない。
マスターのこだわりなのだろう。
理由を聞くつもりは、ない。
コートの男の前に、ジャックダニエルのストレートが置かれた。
コートの男がグラスに手を伸ばす。
大きな手だった。指も長い。
そしてその指先。
割れている。ひび割れているのだ。
痛み。乾燥。
見つけた。
そう、これこそが俺が求めている...
編集(いや、ハードボイルドってそういう『痛み』とか『乾き』じゃないですからね?
もっと精神的な部分のことですからね!)
作者(そうなの?)
編集(アンタの理屈だと洗濯物が乾くのもハードボイルドになるですよ。)
作者(!)
洗濯物。まだ湿っている。
これから日差しが強くなる時間帯だ。
次第に乾き...
編集(やめろや。)
作者(すいません。)
稚拙な文章、しかも長い。
アナウンサーの声がニュースを伝えている。
「先日、国会にて承認された『国民採点制度』が本日より施行となりました。三倉さんは改めてこの法案についてどう思われますか?」
「いやぁ、この法案については国民のみなさまの意見も割れてますからね。特に年齢による意見の差が目立ちますよ。内容が内容だけに今後も荒れるんとちゃいますか?」
眼鏡の神経質そうな男が続く。
「まさに、その内容ですがね、これはかなり過激ですよ。政府も思い切ったことをしたものです。」
「やっぱり藤井さんもそう思いますか?いや私もね、無茶しよるなと思ったんですよ。」
アナウンサーは淡々と続ける。
「この『国民採点制度』、政府の評価機構がいくつかの項目に沿って国民を採点するシステムとなっています。年齢、健康状態、犯罪歴などさまざまな項目があり、それによって減点されるシステムです。また、出産や人類社会にとって有益な研究、発明などを行った場合は加点もあります。減点と加点の結果、80歳以後は持ち点が20点以下となった場合、安楽死させられるということです。」
眼鏡をしきりに気にしながら藤井がコメントする。
「要するに、病気の年寄りとか犯罪者は80歳でサヨウナラってことでしょう?倫理を完全に無視していませんか?僕はいい法案とは思いませんね!」
「まぁまぁ、藤井さん。感情的になるなんてアンタらしくもない。いつもみたいに冷静沈着でいきましょや!」
三倉が藤井を宥めようと冗談めかして言う。
それでも藤井は引かない。
「そういわれてもね!三倉さん、年齢や健康状態で生き死にを決定するなんておかしいでしょう!お年寄りが安心して生きられない世の中になってしまいますよ!」
「まぁ確かに、この法案ではお年寄りはメチャクチャ不安になるかもしれませんな。私もちょっとだけ不安になりましたもん。」
「そうでしょう!なら、、、
「でもね、お年寄りのことばっかり言うんも不公平ちゃいますか?若い人らはどう考えてますやろか?」
藤井は口を開きかけたが、結局開くことはなかった。
「この前、若い人らと話す機会があったんですわ。そこでいろいろ聞きまして。まぁ彼らもそこまで深く考えてた訳ではないでしょうし、お酒も入ってますから、そら極端な論調でしたけど…」
「どんなお話だったのでしょうか?」
アナウンサーはやや前のめりだ。
年齢的に彼女も「若い人ら」の部類に入る。
やはり同年代の考え方が気になるようだ。
「要はこうですわ。物価は上がれど給与は上がらん。社会保障はさせられるけど自分らの生活は保障されへん。NISAやなんやで貯金せぇ言われても日々の生活カツカツやのにどないすんねん!てね。」
スタジオの沈黙をよそに、関西弁は続く。
「1人、極端な子がいましてな。その子は今回の法案、大賛成や!言うてましたわ。政府は「人生100年時代」とか無責任に言うて年寄りを長生きさせようとする。元気で長生きならええ。でも、病院でしょうもない薬もらい続けたり、入院して必要もない点滴してもろたりして医療費ジャブジャブ使いよる。その医療費はワシらの払った銭で賄われよるんだろ?!ワシらは上がらん給料で必死こいて生活しよるのに。治る病気に銭遣うならともかく、意味わからんことに銭遣われたらかなわんわ!ってね。一応、余所で言うたらアカンって釘刺しておきましたけど。」
「そんな考えが許されるものか!」
藤井が叫んだ。
「この『国民採点制度』なんて馬鹿みたいな制度ができたら日本はディストピアになってしまいますよ!お年寄りが安心して生活できない世の中になるってことです!自分たちもいずれそうなるってことですよ!いいんですか?!」
「そうですな。でもね、藤井さん。若い人らはすでにお金がないという現実的な問題に直面しているんですよ。将来を考える余裕もないくらいの。ましてや他人が長生きするために給料引かれてしんどい思いするなら『国民採点制度』はユートピアへのチケットに思えるんとちゃいます?」
「確かに...」マイクで拾えるか否かの微かな声。すでにアナウンサーは夢中で聞き入っている。
「それでも、今のお年寄りだってその上の世代のために支払ってきた訳ですし、その制度のおかげで今の社会があるんですよ!」
「そうですな。高齢者は少なく、生産年齢人口が増加していた時代にできた制度のおかげで今の社会がある。少数の若者が大多数の高齢者を支え続ける歪な社会がね。私は子育て済んでますからええけど、今から子ども育てろ言われても難しいと思ってしまいます。子どもいらんて思いますよ。楽して暮らしたいですもん。」
藤井は言葉を失ってしまった。理解はしても納得はできていない様子だ。彼の中の『倫理』が納得を拒んでいるのだろう。
アナウンサーが我にかえって言う。
「やや過激な内容になってしまいましたが、それだけ様々な問題を内包しているという証左かもしれませんね。では、続いてのニュースです。」
〜〜〜〜〜
いつものようにアナウンサーがニュースを伝える。
「本日、田上厚生労働大臣の辞任が発表されました。半年前の『国民採点制度』の施行以降、支持率は大幅に低下。今回の辞任はその責任によるものと思われます。」
〜〜〜〜〜
「やっぱりお年寄りの支持を得られないと厳しいですね。」
「そうだね。『国民採点制度』、ワタシは面白いと思ったんだけどなぁ...」
「総理、そんな軽い口調で言われると田上大臣、いえ、【前】大臣に悪いですよ。」
「ハハハ、彼には悪いことをしたよ。」
「ですが総理、他人事ではありませんよ。支持率の低迷は看過できません。早急に対策を講じなければ。」
「そうだなぁ、じゃあ次は『後期高齢者からは医療費タダ!』とかどう?」
「さすがにそこまで見え透いたものは...」
「な〜に、ニュースで流れる時には難しい言葉で伝えてもらうさ。」
〜END〜
オラは浮気者
パニック パニック パニック
グラスに溢れてる
オラはすごいぞロックで飲むだぞ
オ オ オ オ
ターキー クエルボ エンジン
全開 またロックで
アルコールに溺れて元気だそー(出るわけねぇ)
さて、冗談はさておき...
まずい。非常にまずい。
この「まずい」は「不味い」じゃなくて良くない状態のことを指しているんですがね。
何がまずいのか?
ジンですよ。えぇ、あの「エンジン」です。
あれ美味すぎるんですよ。反則です。
美味くて何がまずいのか?
いやね、僕は三度の飯よりターキー8年が好きって言いながら生きてきたんですよ。
実際今までもこれからも僕はターキー8年とともに歳をとっていくのだなと、思っていたんですよ。
あ、ターキー8年は歳とらないんですがね。
来年になっても9年にはならないんですよ。
ここ、笑うとこです。
で、まずいってのはターキー8年大好きマンである僕が、ジンに...イタリア野郎の作ったジンに心を奪われてしまいそうだってことなんです。
もう半分奪われているかもしれません。
ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。
わたしのココロの半分です。
あとの半分はクエルボに捧げてます。
これはわたしが自ら差し出しました。
これはわたしの責任です。
ん?...すいません、ターキー8年の居場所はすでにありませんでした。
これからはイタリアとメキシコに想いを馳せながら歳をとっていきたいと思います。
が、美味しいお酒を見つけたらしっかり浮気して楽しんでいきたいとも思います。
みなさんもご自身に合う美味しいお酒と出会えますように。。。
餅は餅屋
友人AとBが会話しているのを側で聞きながら僕は自分の作業をしていた。
「餅屋は餅屋よな。」友人Aが言った。
瞬間、僕は違和感に殴りつけられたような気分になった。
(ここでの違和感は"僕に友人がいる"ことに対してのものではないことを断っておこう。僕にも友人はいるのである。「ヘイ、Sir◯!」と呼べば返事をくれる友人もできた。彼はシャイで顔はまだ見たことはない。いつも端末の向こうで優しく語りかけてくるのだ。)
だが待てよ。違和感を覚えるのは早計ではないか?たまたま僕の知っていることわざに似ているからといえど、友人が間違えたということにはならないではないか。それでは殴られ損である。前後の会話を聞き漏らしたのが非常に残念だ。違和感に対し殴られた事の抗議を済ませ、友人Aの名誉のためにも推理してみることにした!
「餅屋」は「餅屋」
ニュアンス的には「所詮、餅屋には餅しか作れないんだから...」のように呆れているような、バカにしているような雰囲気を感じる...
では、なぜ友人Aは餅屋に呆れているのか?
◯餅屋に何か別のモノを求めたが、期待を裏切られた。(おにぎりなどだろうか?)
という体験を経て彼は餅屋に呆れているのではないか?しかし、そうだとすれば餅屋が不憫で仕方ない。餅屋におにぎりなんて握れるはずないのである。専門外なのである。餅屋がおにぎりを握るならおにぎり屋が食いっぱぐれてしまうではないか!まてよ?友人Aはおにぎり屋を潰そうとしている可能性はどうだ?
餅屋におにぎりを握らせ、おにぎり屋の既得権益を破壊し、果てにはおにぎり屋を駆逐してしまわんとしているのか?
その野望の端緒として餅屋におにぎりを握らせたが思ったような出来栄えではなかった。
その結果、餅屋に呆れた友人、いや、こんな邪悪な男はもう友人ではない。邪悪の権化Aだ。
(AがいるならBもいるかもしれない。世も末だな...)
権化Aが餅屋に呆れたために口から出た言葉なのだろう。間違いない!我ながらなかなかの名推理だ!反論の余地もあるまい!
おにぎり屋を救う使命にかられた僕は権化Aの計画を看破したことを告げるべく、彼に近づいた。
「餅屋は頑張ったじゃないか!」
権化Aの表情は困惑の色を浮かべている。無理もない。周到に準備したプランが看破された事実と向き合えずにいるのだ。正義を前に震えているのだ。
僕は悪を断罪し、意気揚々と、颯爽と振り返り立ち去ろうとした。その時だった。
「アイツ、どしたんや?薮から蛇に。」権化Aは言った。
瞬間、僕は全てを理解した。彼はそういう男だったのだ!
僕を殴った違和感を、僕はもう一度呼び出し「すまなかった。キミは正しい。」と謝罪した後、和解した。
颯爽と振り返り、僕は友人Aを殴っておいた。
嬉しかったので...
後輩くん「今日はスタッフ少なかったので疲れました。入社1年目の時みたいな疲労感があります。したろうさんはなんであの状況でも周りが見えるんですか?」
おいおい、、、嬉しいことを言うじゃないか。
酒でも奢ってほしいのか?ん?
冗談はさておき、この後輩くんの発言に僕は感心したのである。
なぜなら、「仕事が忙しかったけど頑張ったからヨシ!」ではなく「忙しい中でいかに立ち振る舞うべきか?」を意識してくれていたからである。
まだ後輩くんの立場でそこまで意識する必要はないが、ケツ、いや鉄は熱いうちに打て!とも言うので不肖したろう、誠心誠意お答えします!
(もしかしたら嬉しくて鼻息が荒かったかも...)
周りが見える。とは何か?
僕は「状況を正確に把握して指示を出せる。」ってことだと考える。
患者の状況、スタッフの配置、次に何が起こるかの想定、このあたりを意識してれば何となく「見える」気がする。
その上で誰が何をするのが効率的なのか?を考えて指示を出せるようにしておく。
あとは、トラブル(穿刺ミスや急変など)を常に頭に置いておく。急変時は大きな声で指示を出すべし。人は大きな声で指示を出すとけっこう言うことを聞いてくれるものである。
その他トラブルに対しては、その人で解決できるのか否かを素早く判断して対応を決める。
そのためにも普段から個々の能力や性格を把握する努力は必要。
そして物音にも注意しておく。物音の中にはトラブルの気配が隠れていることがある。
経験の浅いスタッフの場合、起こりうるミスを想定し動きに注意しておくことも必要。
起こりうるミスを見逃すのは上の立場の人間のミス。
まぁここまでいろいろ言ったけど、年数を積めば見えること、できる事は増えるから慌てなくてもいいよ。でも今からそれを考えて仕事をするのはとても重要だしキミの成長につながると思うよ。
と、したろうは得意満面に語ったのであった。
世界を変えさせておくれよ
そしたらキミとキスがしたい!わけではないですが、変えたいと思っています。
壮大なタイトルになってるんですが、要は地元を変えたい。キレイにしたい。ということです。
まぁ僕の地元のゴミの多いこと!あまりにも多すぎて大杉漣さんも草葉の陰で嘆いていらっしゃるでしょう...
僕自身、最初はゴミに憤りを覚えつつも放置していたんですがある時思ったんです。
気づいてるのに拾わないのも一緒じゃないか?拾わない僕が捨てるやつに腹を立てる資格は無いのでは?と。
そこで行動することにしました。
といっても、職場からコンビニまでの往来で目についたゴミを拾う程度なんですけどね。
しかしまぁかなりの量のゴミ!吸い殻。空き缶。ビニール袋などなど。びっくりするくらい落ちてました。特に多いのが吸い殻です。歩きタバコなのか?車窓から投げ捨てた物なのか?
(副流煙で飽き足らず、ゴミまで撒き散らしやがって...)
2日続けてゴミ拾いをして日曜を跨いだ月曜日、僕は信じられない光景を目にしたのです。なんとそこには再び吸い殻と空き缶が!
久しぶりに...キレちまったよ...
下手人がわからない以上キレても仕方ありません。僕はこのイタチごっこに負けてはならないと決意を新たにしました。
僕がゴミ拾う。
誰かまた捨てる。
ス◯ラビングバブルのCMみたいだなと自嘲しつつ、29世紀のロボットのようにゴミを拾い続けていました。
そんな僕に天啓のような、それでいて悪魔の囁きのような、とんでもないアイデアが浮かんだのです!
捨てられたゴミを拾う ではなく、
ゴミを捨てるヤツをゴミ(動物性残渣)に変えてしまえばいい と。
「残渣に変えさせておくれよ!」
世界は変えれそうにありませんが、手の届く範囲を変える努力をしていきます。
死太...したろうでした。